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更年期障害の漢方治療

更年期障害は、女性が閉経期にさしかかる時期に起こる一連の症状で、ホットフラッシュ、発汗、不安、気分の変動、不眠などが含まれます。漢方治療は、これらの症状を緩和するために、長い間使用されてきました。漢方医学では、更年期障害の症状は、体内の「気」「血」「陰」「陽」の不調和に起因すると考えます。以下に、更年期障害に対する一般的な漢方薬と、それらがどのような体質や症状に適しているかを説明します。

使用される漢方薬と適応症状

1. 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)

- 体質・症状: 血虚(けっけ)という、血の不足による症状、例えば、肌の乾燥、不安、易怒性、不眠に適しています。冷えや倦怠感などにも使われます。

2. 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)

- 体質・症状: 水滞(すいたい)という、体内の水分代謝が悪く、むくみや体重増加を引き起こす体質の人に適しています。のぼせ(ホットフラッシュ)、発汗にも最適です。

3. 加味逍遙散(かみしょうようさん)

- 体質・症状: 肝気鬱滞(かんきうったい)という、ストレス等による肝(体全体)の機能低下が原因で起こる、イライラ、頭痛、不眠、月経不順などに有効です。神経症状の改善に効果的です。

4. 女神散(じょしんさん)

- 体質・症状: 気血両虚(きけつりょうきょ)という、気と血の両方が不足している状態、つまり、疲れやすい、息切れ、顔色が悪い、不安などの症状に適しています。

5. 温清飲(うんせいいん)

- 体質・症状: 陰虚火旺(いんきょかおう)という、体内の冷えと熱が不均衡で、手足の冷えと同時にホットフラッシュや顔のほてりが見られる状態に適しています。

更年期障害の漢方治療の意義と有効性

更年期障害の漢方治療には、体全体のバランスを整え、自然治癒力を高めることによって、症状を緩和するという意義があります。漢方薬は個々の体質や症状に合わせて選ばれるため、副作用が少なく、患者さん一人ひとりの状態に応じたきめ細かい治療が可能です。

有効性については、漢方治療が更年期症状の緩和に効果的であるという研究結果もありますが、その効果は個人差が大きいことが認められています。また、西洋医学の治療法と比較して副作用が少ないことから、特に薬物療法に対する抵抗感がある方や、自然治癒力を高めたい方に選択されることが多いです。漢方治療は、症状の緩和だけでなく、生活の質の向上にも貢献する可能性があります。

漢方治療を行う際には、西洋医学に基づく治療との併用も考慮されることがあります。例えば、ホルモン補充療法と併用することで、より効果的に症状の管理が可能になるケースもあります。
更年期障害は多様な症状を伴うため、治療にあたっては、症状の緩和だけでなく、精神的なサポートや生活習慣の改善など、総合的なアプローチが求められます。漢方治療は、このような総合的な視点から、更年期障害に対する有効な選択肢の一つです。

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