感染性胃腸炎
感染性胃腸炎は、ウイルスや細菌によって引き起こされる胃腸の炎症で、主に嘔吐や下痢を伴います。この疾患は、特に集団生活を送る場所で流行しやすく、適切な予防と対策が重要です。以下に、感染性胃腸炎に関する情報をまとめました。
ウイルス性胃腸炎
主な原因ウイルス
- ノロウイルス:冬季に多発し、感染力が非常に強い。
- ロタウイルス:主に乳幼児に感染し、ワクチンが有効です。
- アデノウイルス:全年齢に感染するが、特に幼児に多い。
症状
- 嘔吐
- 水様性下痢
- 発熱
- 腹痛
治療法
- 主に対症療法(脱水予防のための水分補給、電解質補充)
- 重症例では点滴療法が必要
予防法
- 手洗いの徹底
- 調理器具の消毒
- ウイルスの流行時には食品の適切な加熱
感染性期間
ノロウイルスは症状が出てから48時間程度が最も感染力が強いですが、症状が収まってからも1〜2週間は便中にウイルスが排出されるため、他人に感染するリスクがあります。
他人にうつさないための予防法
- 手洗い:トイレ使用後や食事前後には、石鹸と流水で手をしっかり洗う。
- 消毒:汚れた表面や調理器具は、次亜塩素酸ナトリウムで消毒する。
- 食事管理:生牡蠣などの生食を避け、十分に加熱する。
- 隔離:感染者は症状が治まってから少なくとも48時間は他人との接触を避ける。
- 環境衛生:トイレやドアノブなどの共有部分を頻繁に消毒する。
細菌性胃腸炎
主な原因菌
- サルモネラ:鶏肉や卵からの感染が多い。
- カンピロバクター:未調理または不十分に調理された鶏肉。
- 腸管出血性大腸菌(O157など):汚染された食品や水。
症状
- 激しい腹痛
- 血便
- 高熱
- 嘔吐
治療法
- 抗生物質の使用(必要に応じて)
- 水分補給と電解質バランスの維持
- 重症例では入院治療が必要
予防法
- 食品の適切な加熱
- 生鮮食品の衛生管理
- 手洗いの徹底
無症状保菌者
サルモネラ菌は、感染しても症状が出ない無症状保菌者が存在し、知らないうちに菌を他人にうつすリスクがあります。
原因食品
- サルモネラ菌:生卵、生肉(特に鶏肉)、加工食品、乳製品。
- カンピロバクター:未調理または不十分に調理された鶏肉、生乳、汚染された水。
- ノロウイルス:生牡蠣、生や不十分に加熱された貝類。
嘔吐下痢症とは?
嘔吐下痢症は、嘔吐と下痢を主症状とする胃腸炎の総称で、特にウイルス性胃腸炎が原因の場合が多いです。急速に症状が進行するため、特に幼児や高齢者では脱水に注意が必要です。
食中毒とは?
食中毒は、汚染された食物や飲料を摂取することで発症する胃腸の炎症です。原因は細菌、ウイルス、寄生虫、毒素などが含まれます。
症状
- 嘔吐
- 下痢
- 腹痛
- 発熱
治療法
- 対症療法が主(脱水予防のための水分補給、電解質補充)
- 細菌性の場合、抗生物質の使用が必要なことも
予防法
- 食品の適切な調理と保存
- 手洗いの徹底
- 生食を避ける(特に生肉や生魚)
脱水症の予防と治療
感染性胃腸炎を発症すると、嘔吐や下痢によって体内の水分や電解質が失われ、脱水症になるリスクがあります。脱水症は特に幼児や高齢者にとって危険です。
脱水症の症状とサイン
- 軽度から中等度の脱水:口の乾き、尿の量減少、目のくぼみ、皮膚の弾力低下、倦怠感、めまい
- 重度の脱水:強い口の乾き、血圧低下、心拍数増加、呼吸の速さ増加、意識の混濁、尿がほとんど出ない
予防
- 水分補給:こまめに水分を摂取し、特にOS-1などの経口補水液(ORS)を使用して電解質を補給することが効果的です。
- 食事管理:無理に食事を取らずに、経口補水液で塩分や糖分を補給し、安静にしておくことが重要です。
- 適切な環境管理:湿度と温度を適切に保つ
治療
- 軽度の脱水:経口補水液の摂取
- 中等度から重度の脱水:点滴治療(NaClや乳酸リンゲル液などの補液)
まとめ
感染性胃腸炎の予防と治療には、感染経路の理解と適切な衛生管理が不可欠です。特にノロウイルスやサルモネラ菌、カンピロバクターの感染リスクを減少させるためには、食品の適切な取り扱いと徹底した手洗いが重要です。無症状保菌者による二次感染も注意が必要です。当クリニックでは、これらの情報を提供し、患者様が安心して日常生活を送るためのサポートを行っております。