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インフルエンザ

インフルエンザ(流感)は、インフルエンザウイルスによって引き起こされる急性呼吸器感染症です。毎年冬季に流行し、特に高齢者や基礎疾患を持つ人々、小児において重症化するリスクが高いです。

インフルエンザの種類

インフルエンザウイルスは主にA型とB型の2種類があり、それぞれ特徴があります。

A型インフルエンザ

流行が激しく、全体的に症状が重い傾向があります。高熱、全身の倦怠感、筋肉痛や関節痛などが顕著です。A型はさまざまな亜型が存在し、パンデミックを引き起こすこともあります。

B型インフルエンザ

A型に比べて症状が軽いことが多いですが、依然として重症化するリスクがあります。B型はしばしば胃腸炎の症状(下痢や嘔吐)を伴うことが報告されていますが、その頻度や具体的なエビデンスは地域や年齢層によって異なります。

症状

インフルエンザの症状は突然発症し、以下のようなものが一般的です。

  • 高熱(38℃以上)
  • 全身の倦怠感
  • 頭痛
  • 筋肉痛や関節痛
  • 咳、喉の痛み
  • 鼻水や鼻詰まり
  • 胃腸炎の症状(特にB型):下痢、嘔吐

感染経路

インフルエンザウイルスは、感染者の咳やくしゃみによって飛沫として放出され、それを吸い込むことで感染します。また、ウイルスが付着した手で口や鼻を触れることでも感染する可能性があります。

予防

予防接種が最も効果的な予防策です。毎年のワクチン接種により、インフルエンザの感染や重症化を防ぐことができます。特に、高齢者や基礎疾患を持つ方、小児、妊婦の方には接種が推奨されています。

その他の予防方法
  • 手洗い・うがいの徹底
  • マスクの着用
  • 人混みを避ける
  • 健康的な生活習慣の維持(十分な睡眠、栄養バランスのとれた食事)

治療

インフルエンザの治療には、以下の抗ウイルス薬が使用されます。

オセルタミビル(タミフル)

経口薬で、発症後48時間以内に服用することが推奨されます。小児には異常行動のリスクが報告されていますので、服用後の監視が重要です。

ザナミビル(リレンザ)

吸入薬で、発症後48時間以内に吸入することで効果があります。気管支けいれんのリスクがあるため、喘息患者には注意が必要です。

ラニナミビル(イナビル)

吸入薬で、1回の吸入で治療が完結します。使いやすく副作用も少ないとされています。

パラミビル(ラピアクタ)

点滴静注薬で、重症患者や経口摂取が困難な患者に使用されます。腎機能障害やアレルギー反応に注意が必要です。

バロキサビル マルボキシル(ゾフルーザ)

経口薬で、1回の服用で治療が完結します。服用が簡単で、有効性も高いことより、最も使用されることが多くなりました。

合併症

インフルエンザは重症化するとさまざまな合併症を引き起こすことがあります。特に高齢者、小児、および基礎疾患を持つ方においてはリスクが高いです。

  • 肺炎:インフルエンザ患者の約5-10%が肺炎を発症します。特に小児と高齢者に多く見られます。
  • インフルエンザ脳症:主に小児に見られ、発症率は約0.1%未満です。急激な意識障害やけいれん、幻覚などを引き起こします。
  • 急性脳炎:稀に発生し、脳組織の炎症を引き起こします。
  • 心筋炎:患者の0.1-1.5%が発症し、心拍数の異常や胸痛を引き起こします。
  • 気管支炎:患者の約5-15%が発症し、特に喫煙者や基礎疾患を持つ人に多いです。
  • 中耳炎:特に小児に多く、患者の約10-30%が発症します。

最新情報(2024年更新)

新型の抗インフルエンザ薬

近年、新しい抗インフルエンザ薬が開発されており、効果的な治療選択肢が増えています。例えば、バロキサビル マルボキシル(商品名:ゾフルーザ)は、1回の服用で済むため、患者の負担が軽減されます。

ワクチンの進化

2024年シーズンのワクチンは、昨年の流行株に基づいて改良されており、より高い効果が期待されています。また、高齢者向けに特化した高容量ワクチンや、より広範な株に対応するワクチンも登場しています。

診断の迅速化

最近では、迅速診断キットの精度とスピードが向上しており、クリニックでの迅速な診断と治療が可能になっています。早期診断により、適切な治療を迅速に開始できるため、重症化のリスクを減少させることができます。
当院では、早期に診断ができる高性能の迅速診断キットを使用しています。

抗ウイルス薬

インフルエンザ治療には、現在では様々なタイプの抗ウイルス薬が使用されています。代表的な抗ウイルス薬についてまとめました。

オセルタミビル(タミフル)
形態 経口薬(カプセルまたは液体)
作用機序 ノイラミニダーゼ阻害薬。インフルエンザウイルスの増殖を抑制します。
使用 発症から48時間以内に投与開始することが推奨されます。
副作用 吐き気、嘔吐、下痢、頭痛、異常行動(稀)
ザナミビル(リレンザ)
形態 吸入薬
作用機序 ノイラミニダーゼ阻害薬。インフルエンザウイルスの増殖を抑制します。
使用 発症から48時間以内に投与開始することが推奨されます。吸入による投与なので、直接肺や気道に作用します。
副作用 咳、喉の痛み、気管支けいれん(特に喘息患者)
ラニナミビル(イナビル)
形態 吸入薬
作用機序 ノイラミニダーゼ阻害薬。インフルエンザウイルスの増殖を抑制します。
使用 1回の吸入で治療が完結するため、患者の負担が少ないです。
副作用 頭痛、喉の痛み、咳
パラミビル(ラピアクタ)
形態 点滴静注
作用機序 ノイラミニダーゼ阻害薬。インフルエンザウイルスの増殖を抑制します。
使用 入院患者や重症患者に使用されます。一回の静脈内投与で治療が完結します。
副作用 下痢、嘔吐、頭痛
バロキサビル マルボキシル(ゾフルーザ)
形態 経口薬(錠剤)
作用機序 キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害薬。ウイルスのRNA複製を抑制します。
使用 1回の服用で治療が完結するため、負担が少ないです。
副作用 下痢、気持ち悪さ

パラミビル(ラピアクタ)について

インフルエンザの治療に用いられるノイラミニダーゼ阻害薬の一つで、点滴静注薬です。以下のような特定の患者に対して使用されます。

使用対象者
  1. 重症患者:インフルエンザの症状が重く、経口薬や吸入薬の投与が難しい患者。
  2. 入院患者:病院で治療を受けている患者で、迅速な効果が求められる場合。
  3. 経口摂取が困難な患者:嘔吐やその他の理由で経口薬を服用できない患者。
  4. 迅速な効果が必要な場合:重症化リスクの高い患者や、基礎疾患を持つ患者で迅速な治療が必要な場合。

当院でも高齢者で重症な場合に、外来で点滴を行っています。

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